蛍光測定とは

生体内の蛍光分子は、それぞれ特有の励起波長の光を吸収し、さらにその吸収光波長に比べて長波長の蛍光発光を伴うことが知られています。蛍光には生体内での様々な反応に関連する情報が含まれる上、蛍光測定は生体に非接触で簡易に測定することができますので、医療、農業、など多岐に渡る生体研究に活用されています。

高精度で波長の切り分け、細胞を分析・観察

「蛍光分析」とは、試薬を添加した物質に特定波長の光(励起光)を照射して、物質から放出される蛍光を測定する分析方法です。PCR検査などでも用いられる分析方法で、細胞レベルの分析・観察に適しています。

蛍光分析で重要になるのは、励起光と蛍光光の切り分けです。励起光と蛍光光は非常に近い波長であるため、厳密に切り分けるには高度な技術が必要です。バンドパスフィルタやダイクロイックフィルタなどで特定の波長のみを透過(もしくは反射)させることで任意に光の切り分けを行なっています。少しでも不要な光が透過されると正しい検査結果が得られず、検知能力が落ちてしまいます。不必要な光は0.001%も通さないという精度で検知能力を高めています。

こうした技術をいかし、小型で持ち運び可能なポータブル蛍光光度計 FC-1の開発を行い、この度デザインも一新したFC-2を2023年7月24日より正式に販売開始することになりました。

FC-2に関しましては2023年7月3日以降にご注文を頂いた場合でも、FC-2にて納品させていただきます。

構成

本機は、蛍光測定の原理そのものを簡易に実現できるシンプルな構成になっており、セル内の試料をLED光で励起し、発光された蛍光を受光素子で検出します。
受光素子方向へ散乱・反射した励起光は蛍光フィルタでカットされます。本機の蛍光フィルタは、検出したい波長に合わせて、お客様ご自身で交換することが出来ます。

特徴

  • LED光源の選択により、励起波長を選択していただけます。
    ※ご注文の前に測定される励起波長と蛍光波長のご連絡をお願いします。FC-2は特定した蛍光物質の検量線から、蛍光濃度を測定する装置です。励起・蛍光物質がわからない場合は、FC-2では測定することができません。
  • LEDとフィルタの交換により、いつでもお客様の手で波長を変更していただけます。
  • 特注の蛍光フィルタにも対応させていただきます。

仕様

使用方法

技術用語説明: バンドパスフィルタとは?

バンドパスフィルタは特定波長のみを透過させ、それ以外の光をカットさせるフィルタです。
分析器や、計測機器、光通信機器、センサーや紫外線照射器などに幅広く利用されています。
シャープな波長切り分けと高い透過率を得ることができます。
蛍光観察に使用される蛍光フィルタでは、高い光学濃度(OD:optical density)が求められますが、設計から製造、分光測定による保証まで可能です。
透過する波長の幅や、透過しない波長など、お客様の用途に合わせて設計・ご提案いたします。

バンドパスフィルタ (633nm)

分光特性例のグラフ
透過波長帯波長、バンド幅、カット(阻止)帯域波長など、用途に応じて設計いたします

狭帯域バンドパスフィルタ (860nm)

分光特性例のグラフ
特定の波長のみを透過させたいときに使用する狭帯域フィルタです。波長は任意にご指定いただけます。

UV-C用バンドパスフィルタ (254nm)

分光特性例のグラフ
殺菌効果を持つUV-Cの光を取り出すことができます

高ODバンドパスフィルタ (480nm)

分光特性例のグラフ
阻止したい波長に対して、高い光学濃度(OD)が必要な場合には、設計、製造から測定による保証まで行います。OD6までの光学濃度測定と保証が可能です。
※OD:Optical Density

技術用語説明: ダイクロイックフィルタとは?

ダイクロイックフィルタとは、薄膜による光の干渉を利用し、特定波長の光を反射し、他の波長を透過させる光学フィルタです。
必要な波長の光を透過させ、不要な波長の光を反射させることで波長の切り分けができます。

UVカットフィルタ

UVカットフィルタの特長

入射光の中から紫外線(UV)をカットし可視光を透過するフィルタです。
液晶プロジェクタなどに使用される高圧水銀ランプに取り付けられ、液晶等の光学部品の劣化を防止する用途や、人体へ影響を与える紫外線をカットする用途などに用いられます。
ご希望の波長に応じて、設計、ご提案いたします。

分光特性例
分光特性例のグラフ
分光特性例(UVカットフィルタ)

IRカットフィルタ

IRカットフィルタの特長

入射光の中から赤外線(IR)をカットし可視光を透過するフィルタです。
デジタルカメラなどのCMOSセンサーやCCDセンサーの前に配置して、人間の目には感度がない光をカットする用途に用いられます。
紫外光のカット、青味の調整にために、UV-IRカットフィルタとして設計することも可能です。
ご希望の波長に応じて、設計、ご提案いたします。

分光特性例
分光特性例のグラフ

非偏光エッジフィルタ

非偏光エッジフィルタの特長

一般的なエッジフィルタへ光が斜めに入射するとき、偏光状態により薄膜の有効屈折率が異なるため、P偏光とS偏光では切り分け波長が異なります。そのため、ランダム光に対しては波長切り分けのスロープに”段差”が生じてしまいます。
非偏光エッジフィルタは、この透過率の分離を抑制したフィルタで、分析機器などに利用されています。

分光特性例
分光特性例のグラフ
分光特性例(非偏光エッジフィルタ)

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